書類をPDF化する方法とは?電子化のメリットやデメリット・注意点も紹介
書類のPDF化とは
PDFとは「Portable Document Format」の略で、文書を紙に印刷したときと同じ状態で保存できるファイル形式を言います。
PDFは、印刷した文書と同等のイメージで保存できるため、文章が鮮明に記録できます。画像として文書を保存した場合は、文字はドットの集合体として記録されますが、PDFの場合は配置や行間、フォントや文字サイズなどの情報をそのまま保存できる点が大きな特徴です。
ワードやエクセル、パワーポイントなどで作成した書類をそのまま使用すると、誰でも自由に編集・加工ができてしまいます。しかしPDFで保存したデータを使えば、手を加えることができないので、請求書や契約書など業務で使う重要な書類はPDF化して取り扱うと便利です。
書類をPDF化する必要性が高まる背景
書類をPDF化する必要性が高まっている背景には、政府が推進するペーパーレス化や、電子帳簿保存法があります。
デジタル化が進み、業務を行ううえでインターネットは不可欠なものになりました。企業で必要な書類を紙で保存すると、保管する場所が必要になります。また紙の書類は複数の人が同時に閲覧できず、必要書類をコピー・印刷したり、郵送したりするコストがかかります。
業務の効率化や生産性の向上、環境への配慮を考えてペーパーレス化を進める企業も増えています。さらにコロナ禍におけるテレワークの導入も、ペーパーレス化を後押ししています。
2022年1月から施行された電子帳簿保存法の改正版では、国税に関する決算書や請求書、納品書などは紙に印刷して保管するのではなく、データで保管するよう定められています。これらの理由により、今後も一層書類のデジタル化が進むと考えられます。
書類をPDF化・電子化するメリット
書類をPDF化するメリットについて詳しく解説します。
コストが削減できる
書類を電子化すれば、印刷代やインク・トナー代、印刷機器代、郵送費、書類を保管するスペースなどが削減できます。
必要なときにPDF化した書類にアクセスして閲覧したりメールで送付したりするだけなので、社内にあるコピー機の数を大幅に減らせるでしょう。また紙の書類の場合は、膨大な保管スペースが必要になりますが、電子化した書類ならハードディスクやクラウドストレージなどに保管できるので、オフィスの保管スペースは不要になります。
保管スペースを廃止して、ミーティングルームやフリーアドレスのためのワークスペースを設置すれば、職場環境も改善され従業員の生産性の向上にもつながるでしょう。
書類の管理や共有がしやすくなる
書類を電子化して保存すれば管理がしやすくなります。紙の書類の場合は、探したい情報がどのページにあるか見つけるまでに時間がかかっていました。
しかし電子化した書類なら、必要な情報をフォルダ名やファイル名、ファイルの作成日時、またはファイルに含まれるキーワードなどで検索できるためすぐに知りたい情報にたどり着きます。また紙の書類は一度に複数人が同時に閲覧はできませんが、電子化した書類なら共有できます。何人かで一緒に編集作業もできるため、効率的に業務を進められます。
書類が経年劣化しない
書類をPDF化や電子化しておけば、時間が経っても劣化する心配がありません。紙の書類の場合は、紙やインクが経年劣化し見づらくなることがあります。しかし、データ保管している書類は、どれだけ時間が経っても作成した当時の状態のままを維持できます。
必要なときだけ紙に印刷すれば、何年経っても鮮明に文字や内容が読めます。また火災による消失の心配もありません。契約書や履歴書、財務関係の書類など、重要かつ長期間保管する必要がある書類から早めにPDF化するといいでしょう。
書類の紛失・流出リスクを低減できる
書類を電子化するとセキュリティの管理もしやすくなります。紙の書類は、保管してある場所に出入りできる人は誰でも手に取れるため、常に情報流出や紛失の心配があります。
電子化した書類なら重要度の高い書類にはIDやパスワードを設定する、アクセスの制限をかけて役員や担当部署の従業員しか見られないようにする、などのセキュリティ対策が行えます。
バックアップを頻繁に取っておけば、万が一災害によるサーバーダウンやハッカーの攻撃などのトラブルが起きても安心です。
書類をPDF化・電子化するデメリット・注意点
書類のPDF化や電子化にはデメリットもあります。電子化したときの注意点とともに詳しく紹介しましょう。
書類の一覧性・視認性が低下する
書類の種類や作業によっては、電子化した書類は、一覧性や視認性が低下する場合があります。
紙の書類であれば、比較したいページや資料を並べて閲覧しながら作業したいときに、コピーを取ったり一枚ずつファイルから外したりしてデスクに並べられます。しかし、電子化してある書類の場合、多くのページやデータをパソコンの画面一面に並べるのは難しいことがあります。
またスマートフォンやタブレットで電子化した書類を閲覧する場合、画面が小さいためにスクロールして見なければならず、紙の書類よりも作業しにくいケースがあります。
新しい管理方法に慣れる必要がある
書類を電子化すると、新しいデータの取り扱いやアクセス法も学ぶ必要があります。フォルダやファイルを開くときのIDやパスワードの入力、編集権限がないファイルの取り扱い、社内での共有や外部への転送方法など、従来の業務とは大きく異なる作業に変わります。またPDF化すること自体に戸惑う従業員もいるでしょう。
新しい電子書類の取り扱いに慣れるまでは、一時的に手間がかかったり通常業務に支障が出たりする場合もあります。事前に研修や説明会を行い、全従業員に対するフォローが必要です。
セキュリティ対策が重要
PDF化や電子化した書類は、サーバーやパソコンに保管します。これらのサーバーやパソコンにウイルスが感染したり不正にアクセスされたりすると、書類の内容が外部に漏洩するリスクがあります。
セキュリティを強化するために電子化した書類はパスワードを設定する、PDF化した書類に証明書を発行し内容を暗号化するなどの対策が必要です。クラウドストレージを使ってファイルを共有する場合は、編集や閲覧などそれぞれの従業員に適切な権限を付与し、指定した人だけがアクセスできる環境を作りましょう。
書類をPDF化する方法
書類をPDF化する方法は一般的にWordの文書をPDF化する、PDF作成ソフトを使って作成、書類をスキャンしてPDF化の3つの方法があります。ここでは、オフィスまたはコンビニや図書館などに設置されているコピー機を使ったPDF化のやり方を紹介します。
オフィス・自宅のコピー機・複合機で書類をスキャンしてPDF化
オフィスや自宅のコピー機または複合機を使って書類をPDF化する場合の手順です。
- コピーを取るときに書類を乗せる原稿台に書類を置く
- メニューからスキャンまたはスキャナを選ぶ
- スキャン後の保存先を選んでスタートボタンを押す
- 保存先を開いて正常にスキャンできているか確認する
- わかりやすい名前に変更する
スキャンは機種によっては白黒だけではなくカラーを選択できるものもあります。保存先は、自分で使用しているパソコンやUSBメモリなど使いやすい場所を指定しましょう。また、スキャン終了後に名前を変更するときは、日付や使用する人の氏名やプロジェクト名など管理しやすい名前に変えてください。
コンビニのマルチコピー機で書類をスキャンしてPDF化
コンビニのマルチコピー機のスキャン方法です。オフィスや自宅のコピー機とほぼ手順は同じです。
- コピー機にスキャンする書類をセットする
- メニューからスキャンまたはスキャナを選ぶ
- 保存先を指定してスタートボタンを押す
- 保存先でファイルを確認し名前を変更して保存する
コンビニのコピー機の種類によっては、PDFではなく画像をスキャンできるものもあります。画像でスキャンしてしまうと、画像のテキスト部分を認識して文字データに変換するOCR機能が使えなくなるので注意しましょう。
書類のPDF化に関するよくある質問
書類のPDF化のやり方は?
書類のPDF化のやり方は、主にWordの文書をPDFに変換する、PDF作成のソフトを使ってPDF化する、コピー機や複合機を使って書類をスキャンしてPDF化する方法があります。
コピー機や複合機を使ってPDF化する場合も、多くの機種でスキャナで読み取ったデータをPDFに変換する機能があるので簡単です。PDF化するためにパソコンへすべてのデータを入力するような手間は必要ないので便利です。
書類をPDF化するメリットは?
書類をPDF化することで、紙やトナー、コピー機・複合機のリース代、郵送費など紙の書類にかかるコストを削減できます。使用する紙の量を大幅に減らせるため、環境保護の観点からもメリットは大きいと言えるでしょう。書類の経年劣化の心配もありません。
また紙の書類を保管するスペースが不要になるので、オフィス環境が改善します。保管スペースだった場所は、ミーティングルームやフリーアドレス用のスペースなどに有効活用できます。
書類をPDF化する際の注意点は?
書類をPDF化するときには、管理するための新しい作業手順を覚えなければいけません。ITに不慣れな従業員の場合は、電子化した書類の扱いに慣れるまで時間がかかったり一時的に業務に支障が出ることも考えられます。
またPDFのアクセス権限を付与する、ID・パスワードを設定するなど、セキュリティ対策を万全に行い不正アクセスやウイルス感染による情報漏洩に備える必要があります。
まとめ
政府によるペーパーレス化の推進や電子帳簿保存法の改正により、多くの企業で書類のPDF化が進んでいます。PDF化すれば書類の管理がしやすくなり、コスト削減、業務の効率化、生産性の向上などにもつながります。しかし管理方法が変わるため、電子化直後は従業員に負担がかかる場合があります。事前に研修を行いサポート体制を整えてください。また電子化することで情報漏洩のリスクが高まる側面もあるので、セキュリティ対策を万全に行う必要があるでしょう。
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