コラム

業務プロセスとは?業務フローとの違いや必要性・改善の流れについて解説

2023.02.01

業務プロセスとは

業務プロセスとは、業務の開始から終了までの一連の流れを指します。
業種や規模にもよりますが、企業ではひとつの業務に対してさまざまな部署が連携することが一般的です。
たとえば営業活動に焦点を当てると、リードの獲得やコンタクト、商談、成約、成約後のフォローなど、さまざまなタスクが存在します。それぞれの部署が行う業務の流れや進め方を業務プロセスと呼んでいます。

業務プロセスと業務フローの違い

業務プロセスと混同しやすい言葉に、業務フローがあります。
業務プロセスが業務の一つひとつがどのように繋がっているのかを指す言葉であるのに対し、業務フローはそれら業務の繋がりがどのように作用して影響し、顧客獲得などの設定したゴールへと向かうかを示している言葉です。
プロセスは過程や手順、フローは流れの意味を持ち、この2つの言葉は同義で使われることもあります。
しかし上記のように、それぞれの言葉が指す範囲により区別されている場合があることを覚えておきましょう。

業務プロセス改善とは

業務プロセス改善とは、設定した目的を達成するための活動のムダやムリ、ムラを省くことで効率よい業務へと改善していくことです。
改善前の現状において、最小限のリソースで効率的に業務を行えていれば問題ありませんが、多くの企業ではコストやリスク、負担の面で問題を抱えている場合も多く見られます。
業務プロセスを改善し、現状よりもスムーズかつ安定的に業務を行えるよう考えることが重要です。

業務プロセスとBPRの違い

業務プロセスの改善と似た考え方に、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)があります。BPRとは業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を根本から見直したうえで、業務フローを含むすべての経営戦略やビジネスモデルをデザインし直していくことです。
業務プロセスが現状の問題点を浮き彫りにして改善を目指していく行為であるのに対し、BPRはさらに一歩踏み込み、すべてのビジネスプロセスを変化させる動きを指しています。業務プロセスとBPRは似ている部分もありますが、対象の範囲が異なることを覚えておくとよいでしょう。

なぜ業務プロセス改善が必要か

設定した業務プロセスに対し、改善が必要な理由としては以下の2つが考えられます。

  • 業務効率化による生産性の向上
  • 業務の属人化に対するリスクマネジメント

順番に見ていきましょう。

業務効率化による生産性の向上

業務プロセス改善が必要な理由として挙げられるのが、生産性の向上です。
企業が行っている業務の中には、時代にそぐわない非効率的でムダなものが潜んでいる場合があります。
たとえばIT化が進む現在では、書類の管理ややりとりを電子化して共有することで回覧や承認が省略できるケースがあるでしょう。
IT化といった言葉に難色を示したり、忙しさの中で手をつけられなかったりして未だに書類をファイルで管理している企業は多くありますが、電子化してデータ上で書類の管理を行えば、管理工程も削減されます。
また過去の資料も電子化しておくことで、膨大なファイルの中から目当ての書類を見つけ出す手間を削減できます。ムダを排除することでスムーズに業務ができ、ひいては生産性の向上へとつながるでしょう。

業務の属人化に対するリスクマネジメント

業務プロセス改善が必要な理由としてもうひとつ考えられるのが、業務の属人化に対するリスクマネジメントです。
業務の属人化とは、ある業務の進め方や方法を、特定の人物しか把握していない状態を指しています。
もしも担当者が急病で休んでしまったり、異動や退職などでうまく引き継ぎが行えなかったりする場合、代替や新しい担当者では今まで行っていたスムーズなやり方がわかりません。
業務フローやスムーズな流れの確認から行うことになるため、大幅な業務効率の低下も考えられます。
誰になっても業務がスムーズに行えるよう、作業手順やマニュアル化を進めることでリスクマネジメントを実施することが大切です。

業務プロセス改善の流れ

業務プロセスとはなにか、なぜ改善が必要なのかについて見てきましたが、改善の流れは以下のように行います。

・業務プロセスの可視化
・課題の洗い出し・整理
・改善施策の立案
・実行計画・KPIの策定
・施工実行・評価

順番に見ていきましょう。

業務プロセスの可視化

業務プロセスの改善を行う際、まずはじめに業務プロセスの可視化が必要です。
可視化とはどの業務がどのようなプロセスで行われているかの流れを目に見えるようにすることです。企業の業務の多くは流れに沿って行われていますが、担当者の慣れや判断によって感覚で行われていることも珍しくありません。
担当者や各部署へのヒアリングや現状のマニュアルや以前作成した手順書の確認などを行い、現在の業務内容とのズレがないかを確認しましょう。可視化のためのヒアリングのポイントは、細かい点までしっかりと聞き出すことです。現状をより細かく把握しておくことで、大きな改善へと繋がります。

課題の洗い出し・整理

業務プロセスの可視化ができたら、次は課題の洗い出しと整理を行いましょう。
上記の可視化作業を綿密に行うことで、「この作業の工程が省ける」「部署間の連携が不十分」といった問題点が浮き彫りとなってきます。
洗い出した課題はそれぞれ「問題の深刻度」「重要性」「改善を行った場合の効果の大きさ」などを予測し、改善の問題点に優先度をつけて割り振っておきましょう。
課題に優先度をつけて整理しておくことで、仕事が忙しくて一気にすべての改善が行えない場合などに有効です。
優先度の決定は自分本位な考え方とならないよう、複数人で検討してください。

改善施策の立案

問題点の整理ができたら、改善施策の立案を行いましょう。
ここで考えた案は、すぐに実行へと移せるわけではありません。思いついた案を闇雲に実施していては、リソースを消耗するだけの結果となってしまう場合もあります。コストや効果、ほかの業務への影響を考えて実行できるのか検討する必要があるため、一つの案だけではなく複数の案を出していくとよいでしょう。
業務プロセス改善を行うべき時期が今であるか、改善を行う部署に改善の余裕はあるかなども含めて総合的に判断し、実行できる改善施策を検討して次の実行計画やKPIの策定へと移っていくことが重要です。

実行計画・KPIの策定

上記の立案を検討し、実行計画へと移した場合の効果やメリットの把握ができた後は、KPIの策定を行います。
KPI(Key Performance Indicator)とは日本語で重要目標達成指標と訳され、ビジネスの進捗具合を測る指標です。
業務の最終的な目標やゴールを達成するために段階的に設定する目標で、達成の度合いを可視化して記録し観察することを目的に活用されます。誰もがゴールまでの進捗が理解できるため、企業によっては工程ごとにKPIを設けている場合もあります。
KPIの策定を行うことで、勘や経験に頼らない判断が行えるでしょう。

施策実行・評価

実行計画とKPIの策定を行った後は、実際に施策の実行と評価を行いましょう。
計画を実行して終わりではなく、まずは1ヶ月程度など期間を決めて試し、効果を測定してみてください。
設定したKPIや実際に施策を試している部署の人間から話を聞き、効率化しているかどうか、問題点はないかを検証するとよいでしょう。施策が思った効果を挙げていない場合は内容の見直しや、場合によっては時期を見て別プランの実行が必要です。
成功した場合もさらなる改善に向け、意識したことや改善フローをまとめて記録しておくとよいでしょう。

業務プロセスの改善で活用できるサービス

最後に、業務プロセスの改善で活用できるサービスを2つ紹介します。それぞれのサービスの特徴や効果を見ていきましょう。

RPA

RPAとはRobotic Process Automationの略で、ロボットにより業務プロセスを自動化するツールを指しています。
業務効率化や人材不足解消だけでなく、労働時間や人件費の削減に大きな効果をもたらすことが期待されていますが、すべての業務で使用できるわけではありません。
一般的には、画面操作の自動化やディスプレイ画面の文字や図形・色の判別、IDやパスワードの自動入力など、比較的判断する必要がなく単調な業務で使われている場合が多いでしょう。
RPAを導入することでヒューマンエラーを防ぐ効果もあるため、上記の業務を頻繁に行っている場合は導入検討するとよいでしょう。

BPO

BPOはBusiness Process Outsourcingの略で、定型化された業務プロセスの一部を外部に委託することです。
業務の中には総務や人事、受付など、定型化されたものが必ず存在します。このような業務を自社で行わず専門業者に任せることで、本当に必要なコア業務に集中でき、業務効率も高まるでしょう。
ただし自社の中に外部の人間を入れるため、サービスの選定は重要です。良いパートナーとなり得る人材を扱っているか、セキュリティ対応基準や業務のどの範囲まで対応できるかなどをしっかりと比較したうえで、最適なサービスを使用しましょう。

業務プロセスに関するよくある質問

業務プロセスとは何ですか?

業務プロセスとは仕事の始まりから終わりまでの流れを指しています。
多くの企業ではひとつの仕事をする際、複数の人や部署が絡んでくるものです。
それぞれの業務の流れに対して業務プロセスを設定し、同じ様に仕事をすることで目標を達成できるでしょう。

業務プロセス改善とBPRの違いは?

業務の効率化や属人化防止を目的に業務プロセスを改善していく業務プロセス改善とBPRとの違いは、範囲です。
業務プロセス改善が工程ごとの問題点を見つけ出し改善していくのに対し、BPRは業務プロセスを含む人材配置や組織、制度の見直しを行い、より目標を達成するにはどのようにすればよいかを検討する考え方です。

業務プロセス改善はなぜ必要?

業務プロセス改善を行う理由は、業務の効率化を測るためと属人化を防ぐためです。
一つひとつの改善点は小さくても、積み上がっていくことで大幅な業務の効率化へと繋がっていくでしょう。
また誰が行っても同じ結果となるよう、業務の属人化を防ぐことも期待できます。
業務プロセス改善は定期的に行い、現状の把握や改善点を見つけていくことが大切です。

まとめ

ここでは業務プロセス改善とはなにか、なぜ必要なのか、改善の流れを紹介しました。
業務プロセスは業務の始まりから終わりを指し、業務プロセス改善において細かく見直すことで、業務の効率化や属人化防止に繋がります。
まずはここで紹介した流れを参考に、業務プロセスの可視化をしてみてください。施策の実行・評価を繰り返して、よりよい施策を打ち立てて活用していきましょう。

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