文書管理とは?重要性・メリットや方法、行う際の注意点を解説
文書管理とは
文書管理とは、企業が事業活動を行ううえで必要な情報を文書化し、保存することを指します。この文書は、大きく分けると企業が法律や社会的な責任を負うために必要なものと、業務に必要な情報や技術・ノウハウなどを有効活用するためのものがあります。
文書管理はこれらの文書を適切に管理するだけではなく、必要なときに必要とする人が、いつでもどこにいても活用できるようにしておく必要があります。そのため文書を作成した時点で、どのくらいの期間どこに保管するかを決めておかなければいけません。
個人文書と共有文書
企業で取り扱う文書には、個人文書と共有文書があります。個人文書は、従業員が個々に手元に保管している文書を言います。従業員それぞれが持っているナレッジやマニュアル、業務のタスク管理文書などがあります。
共有文書は、企業全体または担当部署の従業員全員で共有する文書のことです。共有フォルダや共有キャビネット、クラウドストレージに保管されていて、必要な人がいつでも閲覧できるようになっています。
個人文書の中には、共有文書にした方が有益な情報も含まれている場合があります。
適切な文書管理ができていないと、共有文書にすべきものが個人文書のまま放置される、有効活用できない共有文書が多数存在するなどの問題が発生する可能性があります。
文書管理の重要性・メリット
文書管理の重要性やメリットについて解説します。文書管理を徹底することで、コスト削減や業務の効率化、顧客満足度の向上などさまざまな効果が現れます。
業務の効率化
文書管理を行うと業務の効率化をはかれます。業務ごとに文書を管理したり、種別ごとに見出しをつけたりしてわかりやすい状態になっていれば、業務に必要な文書がどこにあるのか素早く見つけられ取り出せます。
文書管理がされていない場合、必要な文書を探し出すまでに時間がかかり、業務に遅れや支障が出ることも考えられます。また業務を行うときに活用できるナレッジを従業員全員で共有すれば、業務の質が高まり生産性の向上にもつながるでしょう。
コンプライアンスの強化
文書管理が適切に行えれば、コンプライアンスも強化できます。文書管理ができていないと、企業にとって重要な機密情報や極秘資料などの情報漏洩やデータ改ざん、紛失のリスクが高まります。
顧客の個人情報や契約内容が外部へ流出した場合は、社会的な信用を失うばかりではなく、訴訟問題になり損害賠償を請求される可能性もあるでしょう。
文書管理を徹底することでこれらのリスクを減らせるうえ、万が一従業員の不祥事や顧客とのトラブルが発生した場合、事件の経緯や社内の意思決定に関する文書を証拠として提出し説明ができます。
コストの削減
文書管理を行うことで、コストを削減できます。紙の文書を保管する場合、保管するスペースが必要です。保管期間を定めていても適切に文書管理ができていないと、廃棄すべき文書が保管したままになり、無駄な手間と保管スペースがかかります。
文書を外部の倉庫に保管しているケースでは、輸送費や人件費、賃貸料などもかかります。文書管理を徹底して適切に廃棄すれば、オフィスの棚やラック、保管スペースや倉庫で管理する費用が不要です。
空いたスペースや不要になる管理費が有効活用できるでしょう。
顧客満足度・サービス品質の向上
文書管理をすれば、過去の取引情報や顧客情報を必要なときにすぐに閲覧できます。スピーディーに顧客の対応ができ、顧客が求めているサービスや商品の手配ができるようになるため、顧客満足度やサービスの向上にもつながります。
また、顧客からのリクエストや要望、クレームなどの情報も管理できるため、自社製品の品質改善にも役立つでしょう。
文書管理を行う方法
具体的に文書管理を行う方法を紹介します。単に文書を作成日順、または業務内容ごとに分類するだけでは、利便性は高まりません。まずは文書管理のルール作りから始めるといいでしょう。
書類の分類方法やファイリングの仕方についても詳しく解説していきます。
文書管理のルール・マニュアルを作成する
文書管理のルールやマニュアルを作成します。文書管理のルールを社内で徹底することで、部署ごとに文書管理方法が統一され、全社または他部署間での文書の共有もスムーズになります。紙の文書でもデジタル化した文書でもルールは同じです。
文書が法的文書であるか、マニュアルなど業務に必要なものか、知的財産に関わるものか文書の種類を分けてそれぞれ保管期間、保管場所を決めます。ファイルに名前をつけるルールも決め、統一させましょう。
コピーを取る、または複製ファイルを作る場合の取り扱いについても定めます。文書を管理する権限をどこまで与えるかも決めてください。
ルールやマニュアルが完成したら、全社員に浸透させることが大切です。マニュアルを配布したり、すぐに閲覧できるところに設置したりしましょう。
書類を分類する
書類の分類は、部署ごと、種類ごとに検索すると管理がしやすくなります。一般的な分類方法には、ワリツケ式とツミアゲ式があります。
ワリツケ式は、文書を管理する部門で、大分類・中分類・小分類のように分けてトップダウンで整理する方法です。特定の担当部門で分類するので、素早く整理ができます。ただし、ルールに当てはまらない文書が多いとうまく分類しきれない場合があります。
ツミアゲ式は、実務を担当する人がすべての文書をチェックしてから小分類・中分類・大分類と、小さな分類から積み上げて整理します。現場担当者が、実態に沿って文書を分類できるメリットがありますが、すべての書類に目を通す必要があり分類までに非常に時間がかかります。
現在は、ツミアゲ式を採用する企業や公共機関が増えています。
書類をファイリングする
文書をバインダーやファイルに綴じてキャビネットや棚に収納する作業を行います。分類した文書ごとにファイリングしましょう。短期的なスパンで使う文書ならクリアファイルが便利ですが、紛失しやすい点がデメリットです。
バインダーに綴じて分類ごとに色分けすると、キャビネットから探すときにも見つけやすくなります。ボックスに分類ごとにクリアファイルやファイルを収納する方法もあります。バインダーの種類によっては、劣化したときに差し替える必要があるでしょう。
電子文書の場合は、保管するサーバー内に分類ごとのフォルダを設置して収納します。
文書管理システムを利用する
ペーパーレス化を考えるなら、文書管理システムの利用が便利でしょう。文書管理システムとは、電子化した文書を保管し、活用するだけではなく廃棄も可能なシステムです。電子文書を一括で管理できます。
文書を扱う権限の管理もできるため、セキュリティ対策も行えます。必要な文書はいつでも取り出せて、共有もできるので業務の効率化にも役立つでしょう。
文書管理を行う際の注意点
文書管理を行うときに気をつけるべきポイントについてお伝えします。業務上必要な情報を文書として残すため、取り扱いや廃棄するときの方法には十分に注意が必要です。
文書の保管期間や処分ルールを決めておく
文書の保管期間は明確に設定しておきましょう。保管期間を決めておかないと、文書は増え続けてしまいます。内容によって保管期間は異なるため、管理部署で定期的に保管期限が近い文書をピックアップし処分する作業を行います。
保管期間が過ぎた文書の取り扱いのルールも決めておく必要があります。さらに長期保存が必要になる文書と廃棄する文書を仕分けし、内部情報が漏洩しないよう適切な廃棄方法を決めておきましょう。
廃棄文書の量が少なければ社内でシュレッダーを使うこともできますが、膨大な文書を破棄する場合は、外部に委託して溶解処理など安全に廃棄する方法も検討するといいでしょう。
十分なセキュリティ対策を行う
適切に文書管理を行ってセキュリティレベルを高めるためには、文書を管理する場所や管理できる担当者を厳密に決めておく必要があります。文書保管場所に立ち入りできる人の権限を決定し入退室を管理できるようにしましょう、
また、保管場所やロッカーの鍵の管理も重要です。文書を持ち出しする場合や複製する場合の制限も決めておきましょう。
電子化した文書の場合も、ファイルにID・パスワードを設定して担当者だけに通知する、フォルダやファイルにアクセスできる権限を設定するなどのセキュリティ対策を行ってください。
万が一、外部に情報が漏洩した場合に、迅速に原因と特定できるよう十分にリスク管理を行いましょう。
文書管理に関するよくある質問
文書管理の目的は?
文書管理を徹底することで、業務に必要な情報を素早く取り出せるようになり、業務の効率化や生産性の向上につながります。また、保管するスペースや手間などのコストを削減できます。
さらに情報の漏えい、改ざん、紛失のリスクを減らせるうえ、顧客の情報や取引履歴などから顧客への迅速なフォローやサービスが可能になり、顧客満足度の向上も見込めるでしょう。
文書管理のやり方は?
文書管理の流れは、まず文書管理のルールを決めてから書類を分類しファイリングします。ルールやマニュアルは全社員に周知し、いつでも閲覧できるよう配布するなど、見やすいところに掲示しておきましょう。
文書管理システムのデメリットは?
文書管理システムのデメリットは、紙の文書を電子化するまでに時間と手間がかかる点です。1つ1つの文書を社内でスキャンして電子化する場合、多くの人件費と時間が必要になるでしょう。
また、文書管理システム自体を導入する初期費用も必要です。運用までの費用だけではなく、従業員が使いこなせるよう研修を行う必要もあります。
まとめ
文書管理はコスト削減、セキュリティ強化、業務の効率化、顧客満足度の向上などに役立ちます。
文書管理を行うときは、最初にルールを決めてマニュアルを作成しておきましょう。文書を分類してファイリング、そして保管します。保管期間や保管期間を過ぎたときの処分方法についても定めておいてください。
ペーパーレス化を推進するなら、文書管理システムの導入も検討しましょう。
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